資料のページ【2】

制作/訳・Coral Network
Coral Networkの著作物の無断使用はお断りします。
内容に誤解を生じさせないためです。必ず御連絡下さい。
 

<お願い>
何よりもまず、リーフチェックの資料を熟読して下さい。背景を知らないと理解が中途半端になってしまいます。このマニュアルはその手助けのために作られています。また、マニュアルは刻々と変化します。最新の物を読んで下さい。

 
以下の資料がひとつのファイルになっています。
L7-1 事前ミーティング進行表
L7-2 役割分担表
L7-3 調査手順

 
L7-2 役割分担表(担当を併記)
 
役割分担表 担当者
調査地決定 .
日程決定 .
科学者依頼 .
参加者募集 .
ML設置・管理 .
広報 .
ニュースレター作成 .
資料作成 .
連絡先調べ .
マスコミ連絡 .
マスコミ応対 .
調査種決定 .
調査法 .

 
事前ミーティング 担当者
司会 .
メンバーの紹介 .
リーフチェックの思想 .
調査の位置づけ、意味、方法 .
手順の説明 .
調査海域の説明 .
各担当の役割の詳細な説明 .
魚類 .
無脊椎 .
底質 .
チーム科学によるサンゴ礁の説明 .
調査当日のスケジュールの説明 .
カメラ撮影 .
ビデオ撮影 .

 
 
 
 
調査当日 担当者
準備物確認 全員
ボート操船 .
アンカーリング .
GPS .
魚類 .
無脊椎 .
底質 .
カメラ .
ビデオ .
ライン設置 .
データまとめ 全員
弁当 .
ドリンク .
パーティー(懇親会) .

 
 
 
 
 
 
 
調査後日 担当者
ビデオ編集 .
データ送付 .
 L7-3 調査手順
★リーフチェック調査手順★
1.調査地点の決定
 船長またはチームリーダーが調査地点を決定します。毎年同じ位置での調査が要求されていますので、調査海域を良く知っている人が行います。GPSで位置を確認し、データシートに始点・終点のGPSデータを記録します。

2.調査測線の設置
 一回は水深3m(2〜6mの間なら可)、もう一回は水深10m(6〜12mの間なら可)に調査測線を設置します。100mメジャー、又は50mメジャー二つ、又は20mメジャー四つを用意し、100mの調査測線を一度に設置します。100m分のメジャーが無い場合は、1回のダイビング中に数回に分けて調査を行う事になりますから、手順の確認、安全確保に十分注意して下さい。メジャーの設置には大体15〜30分かかります。
西表及び与論の調査地点・調査測線の様子が見れます。
[調査地点【西表】【与論】/調査測線【西表】【与論】

・メジャーの設置、位置計測、メジャーの回収
1)一回目の設置
一人またはそれ以上の設置担当者が、用意したメジャーを持ち潜行します。一回目の調査水深での始点を決定し、そこにメジャーの0mを合わせて固定します。調査水深に沿ってメジャーを設置していきます。設置する水深は上記の範囲内であれば問題ありませんが、毎年同じ地点を調査するために、始点となるべく同じ水深を保つのが好ましいです。メジャーの紐がたるんだり、サンゴをひっぱって破壊しないように、二人組みで行うとなお良いです。メジャーによっては浮きやすいものがあります。この時は、釣り用の重りなどを用いて浮かないようにします。
 メジャー一本分を設置し終えたら、複数のメジャーを持っている場合は続けてそれらを設置します。
 始点と終点にはマーカーブイを設置して下さい。
 なお、20mのメジャーを使用する場合には、測定地点に対応するようにメジャー毎に5mの間隔を開けて下さい。 

2)位置計測
メジャーの始点が決まったら、その位置をGPSで測定し、データシートに記録します。メジャーの設置が終わるのを待ち、終点の位置をGPSで測定し、データシートに記録します。調査終了後に測定しても構いません。  
 
3)メジャーの回収
 すべての調査が終了し、データをチェックして再調査の必要が無いと判断したら、すべてのメジャーを回収します。メジャーの紐が引っかかっているサンゴを破損しないように、細心の注意を払って下さい。

4)二回目の設置
 一回目と水深を変え、同様の手順でメジャーを設置します。一回目に設置したラインになるべく平行になるように設置して下さい。
 何らかの理由で調査地点が変わる場合は平行にする必要はありませんが、測線の始点と終点を再度GPSで測定して下さい。

5)メジャーの回収
 すべての調査が終了し、データをチェックして再調査の必要が無いと判断したら、すべてのメジャーを回収します。メジャーの紐が引っかかっているサンゴを破損しないように、細心の注意を払って下さい。

3.魚類調査
 メジャーの設置終了後、魚類が調査測線付近に戻ってくるのを15分間待ちます。その後、魚類の担当者のみがエントリーし、調査を開始します。調査は1時間程度かけるつもりで行って下さい。
 調査は、メジャーの左右それぞれ2.5m(計5m)幅で、0〜20m、25〜45m、50m〜70m、75m〜95mの距離について、合計5m×20m×4=400平方mの範囲で行います。高さは上方5mです。この範囲内にいる指定魚種(資料7−1)のそれぞれの個体数を数え、データシートに記録します。(これをエリア限定調査と言います)
 メジャーに沿って非常にゆっくり泳ぎながら、調査を行います。4つの調査範囲の始点、すなわちメジャーの0、25、50、75mの地点では、岩や珊瑚の下に隠れた指定魚種が出てくるのを待つため、しばらく静止します。この時、珊瑚に着底したり、中性浮力を保つために大きな動作をするのは好ましくありません。
 調査を二人で行う場合は、メジャーの左右に平行に並ぶ事になっています。しかしながら誤認、見落としを無くすため、手元が見える範囲に近づいて泳ぎ、指定魚種を見つけたら指差し確認を行う方が良いです。
 指定魚種の誤認を防ぐためには、スレートや写真のパウチを持って入るのが最も確実です。
 調査範囲外にベラとブダイの指定魚種を発見した場合は、リーフでの回遊性を持つ種と考え、コメント欄に記録します。
 同様に、オニイトマキエイ、サメ、亀といった珍しい生物が見られた場合も、コメント欄に稀な生物として記録します。
 
**注意**
5m進んだら3分間停止し、その後カウントします。透明度が良い地域では、その先で見られた指定魚種がカウントしようとした時にはいないと言う事があります。この場合は数に入れて下さい。

4.無脊椎生物調査
 魚類担当がエントリーして15分後に、無脊椎生物の担当がエントリーします。調査は1時間程度必要です。
 調査は魚類と同じ範囲で行います。指定生物(資料7−2)の内、イセエビやナマコなどの夜行性生物は、サンゴや岩の隙間に隠れていることがありますので、注意してくまなく調査して下さい。水中ライトは必携です。
 魚類と同様に指差し確認を行うと、誤認、見落としが減ります。

 出来れば、調査範囲内のサンゴの白化、病気の割合なども同時に見積もり、データシートに記入します。この調査は無脊椎生物担当が行わなければいけない訳ではありませんので、チームリーダーが適切に判断して担当を決定して下さい。

5.底質調査
 無脊椎生物担当がエントリーして15分後に、底質の担当がエントリーします。調査は1時間程度必要です。
 調査は、メジャーの直下の底質を、指定区分(資料7−3)に従って分類し、0.5m毎に記録します。メジャーの紐が水底から離れている場合も、直下のポイントを調査し、記録して下さい。

6.写真・ビデオ撮影
 専門の担当は、無脊椎生物担当がエントリーする時刻より後にエントリーし、撮影を行います。魚類調査を行っている範囲には近づかないように気を付けて下さい。
 写真・ビデオを組み合わせて、調査測線場所、調査結果、新たな発見、について文書にまとめて下さい。経年変化をみる上で非常に重要な情報となります。
1)写真撮影
 毎年の調査を同一地点で行うことが出来るように、水上、水中での目印、調査測線全体、その周辺、について撮影します。最低でも12枚程度は必要です。
 また、調査範囲に特徴的な場所(サンゴの白化、病気など)があれば、詳細に撮影します。
2)ビデオ撮影
 メジャーに沿って、非常にゆっくり移動しながら、調査測線全体を撮影します。メジャーの設置状態やその周辺を、出来るだけワイドな画角で撮影します。
 撮影の基本として、場所の位置関係を明確にするため、メジャーの始点から終点に向かって撮影し、メジャーの片側から一方向に向けて撮影します。四方八方から撮影すると、位置関係が分からなくなってしまいます。

7.データシートの回収
 それぞれの調査が終了したら、その都度データシートを回収し、データをチェックして再調査の必要が無いか調べて下さい。再調査の必要があれば、メジャーの回収前に行います。
 印刷したデータシートは本部への提出が必要です。丁寧に保管して下さい。

8.水面休息
 一回目の調査が終了し、メジャーの回収が終わったら、水面休息を取ります。参加者に調査方法などについての疑問点があれば、この時にチーム科学者やチームリーダーが回答しておきます。
 十分に水面休息を取ったら、二回目の調査を上記の手順と同様にして行います。

 皆さんも御存知のように、リーフチェックでは、バディはいてもガイドがいないバディ単位のダイビングになります。
調査測線が設置されているので、迷子になりにくいように感じますが、ボートの停船位置の関係で、ボートと調査測線の始点に距離があり、
(距離といっても50mもありません)始点へ行くのに迷子になる可能性があります。
 「えっ?」と思わないで下さいね。
 それに似た様子をボートダイブで数回見かけています。
ボートから始点へのコンパスを確認し、エントリーして、1-2分たっても始点が見つからない時は、必ず浮上するなりして、位置関係を確認しましょう。
また終点からボートへ戻る時は、調査測線にそって始点へ戻ることも考えましょう。
こうした事は恥ずかしい事ではないですし、ダイビングの上手下手ではなく、いかにお互いに安全確保をするかを大切に考えませんか。